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日本企業を呼び込む
〜江省寧波(ねいは)市、杭州市蕭山(しょうざん)区〜

上海事務所 所長 草薙 勝之
世界からの理解、自己変革
 WTO(世界貿易機関)加盟を果たした中国― その中国にとって、2001年は上海を中心とする長江デルタ地域に世界の耳目が集まった年であった。多国籍企業のアジア・中国総本部やR&Dセンターの上海への新設・移転が相次ぐとともに、1日に6.6件の割合で外資系企業が進出し、さらに、上海ファイブ(中国・ロシア・カザフスタン、キルギスタン、タジキスタンの5カ国。昨年6月にウズベキスタンを加えた上海協力機構へ組織変更)やAPECなどのビッグな会議を成功させた。
 外資系企業誘致をめぐる都市間競争が激化するなかで、各都市の幹部は、「まず、世界に都市の名前を知ってもらう、理解してもらう、外国からの投資を促す、それをてこにして都市を改革する」という。そして、日本人気質に精通した日本語の堪能なスタッフを配置し、現地の日本人会と密接にタイアップする都市が増加し、「まず、わが町に来てください。私達からだけではなく、進出している日系企業から、成功例、失敗例を直接聞いてください」と日本企業に呼びかけている。WTO加盟後、外資系企業への優遇制度の見直しが進む中で、地方政府の補助が可能かどうかは、その財政力の優劣にかかっていると言われている。今回、一定の財政力を有し、対日本重視の方針を打ち出している都市のうち、浙江省の二都市を紹介したい。

寧波市―天然の良港と上海への近接性
 寧波市は、地図にあるように、大陸で一番日本に近い位置にある。全市の面積9,365m
2、総人口541.69万で、市内には5区の他、3県、県級市3市を管轄している。上海へは飛行機で30分、車で約3時間30分であるが、杭州湾大橋(2006年竣工予定)が供用されると2時間圏内になる。7000年前の「河姆渡(かぼと)文化」の発祥地があり、中国第2の港である北倫港は、「徐福伝説」の徐福や鑑真和尚が出航した場所としても名高く、現在でも、世界で30万トン級の貨物船が接岸できる10港湾の一つである。また、深、大連、青島、厦門と同様、省レベルの経済自主権等を有する「計画単列都市(日本の政令指定都市に近い)」に指定されており、行政的にも大きな権限を有している。
 寧波市のGDP(2000年)は1,191.5億元(1元=約15円)(第1次産業95億元、第2次産業667億元、第3次産業429.5億元)で、浙江省全体の19.8%を占め、一人当たりのGDPは2,667USドルに達している。また、2001年1〜9月期で前年同期比7.5%増である。産業別でみると、(1)全国有数の石油化学、エネルギー原材料基地(136社の石油化学企業)(2)「中国第1号の洋服、人民服生産地」として全国シェア12%を占め、雅戈爾集団、杉杉集団など大規模ファッションメーカーが立地し、日系繊維商社との提携により、日本にも数多く輸出(3)「中国金型の街」といわれ、プラスティック成形機生産シェアは50%以上であり、金型企業、自動車部品産業が多く、その他、臨港型企業や電子産業も近年伸びている。また、市内には、国家級の寧波経済技術開発区や寧波保税区をはじめ、市・県級の経済開発区が開発―されている。外資系企業は5,040社、投資総額132億USドルで、うち日系企業数は457社、投資総額12.3億USであり、寧波日商倶楽部の会員は約100人である。
 投資地としての魅力は、(1)私営企業の割合が80%であり、市場経済化が進んでいる(2)政府・経済開発区関係者の積極的な協力体制―原材料調達や関税問題の解決(3)経済技術開発区の五免五減制度や保税区の存在(4)北倫港の存在と港湾、税関、商検局との良好な関係(5)教育水準の高さと相対的に安価な労働力(6)豊富な自然環境と魚介類(7)ゴルフ場などレクリエーション施設の存在−をあげることができる(寧波市政府関係者、日商倶楽部岩間副会長談)。

杭州市蕭山区―国際空港と上海への近接性
 杭州市蕭山区は、総面積1,420m
2、人口114.2万で、杭州蕭山国際空港まで5km、上海及び寧波まで各150kmにあり、市の中心部には党山、北部には「銭塘江の逆流」で有名な銭塘江が流れるなど、風光明媚な都市である。2001年3月、蕭山市から杭州市の一区となった。
 2000年のGDPは227.9億元( 第1 次産業9 . 6 % 、第2 次産業55.5%、第3次産業34.9%)で、2001年1〜9月で202億元に達している。外資系企業数は194社で、内日本企業は22社である。
 蕭山市には、国家級技術開発区である「蕭山経済技術開発区」(1993年国務院批准)があり、世界各国から160社以上が進出している。また、静岡県と浙江省が友好都市であることから、静岡県・浙江省経済交流促進機構が双方に設けられており、開発区内に整備されている静岡工業団地には、現在、静岡企業7社が進出し、1社が進出検討中である。
 同団地に進出している雅馬哈楽器有限公司(ヤマハ株式会社による100%独資企業、1997年3月設立)は、第一次選考で大連、天津、青島、広州、無錫、張家界、杭州、蕭山、寧波を選定し、その後杭州、蕭山、寧波に絞込み、最終段階で蕭山に決定している。その理由として、(1)ピアノパーツ組立工場に必要な蒸気・電気・上下水道など十分なハード整備(2)工場設立にあたって、FS(フィージビリティスタディ)が必要であるが、市政府や開発区からの迅速・的確な情報提供(3)物流面では中国国内からの材料調達ができ、海外への輸出で有利r浜松市と年間温度・湿度が同じ気候条件(4)繊細な感性で思慮深い人材の豊富さーを挙げている。

(上海事務所 所長 草薙 勝之)