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江蘇省概観〜1:6:10:12 〜

上海事務所 所長 草薙 勝之

 

 今、江蘇省が大きく飛躍している。外資系企業の立地と国内企業の成長をてこに、2000年の域内総生産は前年比10.6%増、2001年(1〜9月)に入っても6,590億元(1元=約15円)、10.3%(前年同期比)成長と好調に推移している。
 大阪府は、江蘇省と1980年以降友好交流関係を続け、府下の自治体では池田市ー蘇州市、堺市ー連雲港市、高槻市ー常州市、和泉市ー南通市とそれぞれ友好交流関係にあり、両府省内で活動する各種団体間に親密な人的関係が構築されている。また、経済面では、江蘇省には数多くの大阪系企業が進出している。江蘇省政府も、毎年、大阪で「江蘇省輸出商品展示会」を開催している。当事務所に対しても、江蘇省に関する照会が多く寄せられている。そこで今回は、江蘇省の概要といくつかの都市(開発区)をご紹介する。

 
江蘇省の概要
 「米と魚の郷」と呼ばれる江蘇省は、豊かな自然環境と悠久の歴史を誇っている。
 省の中央部を東西に長江(揚子江)が流れ、菜の花畑が一面に広がる「江南の春」や稲穂がなびく秋の情景は日本を彷彿とさせる。「南船北馬」と言われるように、長江をはさみ、蘇北(江蘇省北部)と蘇南(江蘇省南部)とは、情景や文化が異なっており、太湖(面積は2,425km
2)など湖沼や水路により、面積の約18%が水面である。
 また、我々にはなじみの深い歴史名所も豊富にあり、徐福伝説の地や「呉越同舟」の語源となった呉の国、さらには、鑑真和上から現在の周恩来、江沢民に至るまで、多くの傑出した人物を輩出している。
 江蘇省の面積は10.26万km
2(全国の1.1 % )、人口は7,438万( 同5.7%)で、国内総生産(2000年)は8,582.73億元(同9.7%)である。とりわけ、工業生産額は広東省に次いで全国第二の10,452.87億元と全国の12.2%を占めている(上海は7.2%)。また、南京、無錫、徐州、常州、蘇州、南通、連雲港、淮陰、塩城、楊州、鎮江、泰州、宿遠の13市(地区レベル)と、その下位に58市・県(県レベル)があるが、南京及び上海に近接する蘇州、無錫、南通への企業立地が多い(中国の地方制度は分かりづらいが、同じ市でも地区レベルの市と下位の県レベルの市がある)。

 
短縮化する時間と距離
 近年の高速道路網の発展は目を見張るものがあり、日本から南京にその日のうちに到着することも当然となった。1996年には、上海と南京を結ぶ全長300kmに及ぶ滬寧高速公路(滬は上海、寧は南京のこと)が開通した。自動車・鉄道を利用すれば、上海ー南京間は約2時間30分、上海―蘇州間は約1時間の距離である。また、長く分断されていた蘇北と蘇南との交通についても、南京長江大橋に加え、江陰長江大橋(1999年)、南京長江第2 大橋(2000年)が開通し、飛躍的に便利になった。さらに、空路は、省内に8カ所の空港があるが、1997年に南京に禄口(ルーコウ)国際空港(国内線は40カ所を結び、国際線はチャーター便のみ)の開港により、国内外との結節が強化され、今後、新たな道路・橋梁の建設計画の実行とともに国内外とのネットワークの拡大が予測されている。

 
江蘇省内の主要開発区
 
省内には80の経済技術開発区(うち、国家級は11)と2つの輸出開発加工区があり、それぞれが競争を行っている。ここでは、主要な開発区について紹介するが、詳しくは、当事務所にお問い合わせいただきたい。
 南京市:江蘇省の省都であり、歴史的建造物や玄武湖、紫金山など自然も豊富である。国家級の南京経済技術開発区及び南京ハイテク技術産業開発区(区内に南京ソフトウェアパークあり)がある。
 蘇州市:「上に天あれば、下に蘇州と坑州あり」。寒山寺や庭園で有名であるが、近年、外資系企業の立地促進により、工業都市として発展している。国家級の蘇州新区(ハイテクパーク)及び蘇州工業園区(蘇州シンガポール工業園区あり)には、海外の有力企業が進出している。
 大蘇州市に位置する昆山市には、国家級の昆山経済技術開発区(輸出加工区あり)があり、近接の呉江市とともに、台湾企業が集積している地域である。また、常熟市には、省級の常熟経済開発区があり、日系企業も進出している。
 無錫市:太湖の北側に位置する、太湖と72の大小の島がある風光明媚な都市である。演歌の「無錫旅情」でも有名。省級の無錫新区(無錫国家ハイテクパーク及びシンガポール工業園区あり)があり、比率的に日系企業の進出が多い。
 大無錫市に位置する宜興(ぎこう)市は、「陶器の都」とも言われるように、「紫砂茶壷」と香り高いお茶の「碧螺春」で有名である。環境保全に力をいれており、国家級の宜興環保科技工業開発区などがある。
 南通市:1984年に中国が初めて対外開放した14の沿海都市の一つであり、蘇北に位置し、南通港(長江)を通じて国内外と結びついている。国家級の南通経済技術開発区があり、早くから繊維産業の集積が進み、近年は、化学・ハイテクに力をいれている。2004年竣工予定の蘇通揚子江大橋(南通−常熟)が開通すれば上海への交通が一層便利になる。
 楊州市:南京の北東70・、長江北岸に面し、大運河の開削(隋の時代)により海外との通商の拠点となり、マルコポーロが3年間住んだといわれる。鑑真和上ゆかりの大明寺がある。省級の楊州経済開発区があり、工業化を目指している。

(上海事務所 所長 草薙 勝之)