| 中国進出は、合弁か独資か 海外投資相談員 米永 繁夫 |
| ひところ低調であった海外投資相談が、最近また増えている。依然として、中国関連が圧倒的に多いのだが、最近の相談で気になる事例が二つあったので紹介する。 (1)「中国人の友人がいる。彼を中国に帰らせて自社関連の事業をやらせたい。そのための資金は我社が出すが、表面には出ずに名義は中国人の友人にする。しかし、実質的に同社を自社の現地法人として掌握したい。そのためにはどうすればよいか」。 (2)「中国人の知り合いから、親族が国で事業を計画している。その事業に資本参加しないかとの話しがある。資本参加だけしようと思うが、その場合の留意事項は?」−というものである。 (1)のケースでは、「そのような考え方には、根本的に問題がある。中国人の友人を信頼するのは結構だが、表面的には完全に中国人の友人の会社になる。友人との信頼関係が壊れたり、情勢の変化などがあった場合、対抗手段は何もない。リスクが大きいし、イレギュラーすぎる。考え直した方がよい」と強くアドバイスした。 (2)のケースについては、「現地でどんな事業を計画しているのか。またそれが自社に合った事業なのかなど計画をよく聞いて考えた方がよい。また、いくらまでなら出資する、それ以上は出さないなど、始めから枠を決めておいた方がよい。最悪の場合は、放棄する覚悟も必要」と答えた。 このような事例は、中国との交流が広がり、これまで中国への投資を経験したことのない新しい企業層の参入が増えているからだろうか。そこで、今回はおさらいの意味も込めて基本的な視点について確認しておきたい。 最近の中国への進出では、独資が主流になっている。中国国家工商行政管理局によると昨年に新規登録された外資企業は、全体で20,727社、このうち、独資企業は11,470社で全体の5 5 % を占め、前年に比べ48.6%増と、合弁(18%増)や合作(9%増)を大きく引き離している(日経新聞01.4.16.付)。これは、「合弁企業は経営面で、意見が対立するケースが多い」「経営の意思決定に時間がかかる」などによるものだろう。 新しく中国への進出を検討するに当たっての基本は、“まず何のために進出するのか、その目的をはっきりさせ、その上で目的に合った望ましい形を選択する”ということであり、それが重要である。 中国は、WTO加盟を間近に控えて、経営環境が 整備されつつあり、従来的な「異質的なもの」から国際的な「普遍的なもの」へと大きく変わろうとしている。今後ますます、“世界の生産基地”としてのウエイトは高まっていく。進出する場合は、基本をしっかり押さえて、成功していただきたい。 (海外投資相談員 米永 繁夫) |