中国経済の発展、WTO加盟への動きや日本経済の閉塞状況から、当事務所へのビジネスパートナーの紹介や事務所設立相談が増加している。当事務所は、中国進出の足がかりの拠点として、共同事務所(駐在員事務所用スペース)を運営しており、事務所の設立・運営から駐在員の生活面にいたるまで、具体的な相談に応じている。
中国での外資系企業の設立にあたっては、各種の手続きが必要であり、上海での駐在員事務所設立フローは右図のとおりである。すべての手続きを終えるには、書類の差し替えがない場合、対外経済貿易委員会への申請から概ね3カ月程度が必要である。今回、岡本無線株式会社の貿易部門(独立の会社)であるおおとり株式会社(奥拓利上海代表処)が共同事務所を退所し、新たに現地法人(独資企業)として営業を開始されるのを機に、同社入田駐在員に話を伺った。
上海における駐在員事務所設立の流れの図はここをクリックして下さい。
現地法人設立の動機
草薙:貴社は、1999年10月から約1年半、IBO共同事務所において、駐在活動をされました。入田さんは、初代所長として、駐在員事務所の立ち上げから今日に至るまで、一人で頑張ってこられました。4月から現地法人として営業を開始されることになり、誠におめでとうございます。まず、上海進出の動機を教えてください。
入田:当社は、産業用機械の電子部品を販売する商社ですが、駐在員事務所として、中国の華東地域に進出する取引企業(日系)の状況確認やニーズの把握、日本との連絡業務を行ってきました。現地法人の設立は、当初から計画していたことです。当社の取扱う電子部品は日本製で、大陸へは、香港から搬入していますが、月1回の船便(コンテナ)で一括して運ばないといけませんので、納期と物流の面から得意先の要望に応えづらくなっていました。また、得意先からは、人民元で購入したいという要望も多く、台湾の取引企業が上海に進出したことも大きな要因の一つでした。部品の現地調達率は金額ベースなのでなかなか達成できず、困っている企業が多いのですが、現地法人から購入すれば、現地購入として扱ってもらえます。また、当社として、部品のラインナップをそろえるため、中国企業からの部品調達も、今後の戦略の一つです。
駐在員事務所と現地法人設立の違い
草薙:入田さんは、駐在員事務所と現地法人の設立の両方を経験されましたが、申請手続の違いはありましたか?
入田:手続は基本的には同じです。駐在員事務所と異なる点は、申請段階で工商行政管理局指定の銀行口座に資本金を入金する必要があることです。また、営業許可を受ける必要があります。営業許可書を取得するには時間がかかると聞いていたのですが、IBOに紹介いただいたコンサルタントのお陰で、法人設立の批准後15日で営業許可を受けることができました。設立申請から最終の税務登記まで、駐在員事務所の設立と同じ3カ月程度の期間で、設立することができました。
草薙:現地法人の設立は、駐在員事務所の設立よりも難しかったでしょうか?
入田:同じです。中国では、独資法人の商社は認められていないのですが、上海では、浦東の外高橋地区に限り、独資法人の商社を設立することができます。外高橋の場合、貿易型と倉庫型を選択できますが、当社は貿易型を選択しました。資本金は、20万USドル、事務所面積20m2で契約しました。また、外高橋に事務所を有した場合、浦東内のより便利な場所に営業事務所を設置することができますので、4月から、浦項商務広場(110m2)で営業を開始する予定です。
IBO共同事務所利用の感想
草薙:共同事務所を利用されての感想や、直接、現地法人を立ち上げたい企業へのアドバイスをお願いします。
入田:当社の場合、香港から大陸へ部品の納入をしていたとは言え、中国の正確な状況がわからないため、それを把握する目的で駐在員事務所からスタートしました。もちろん、当初から、現地法人を設立することを想定しながら、業務を行ってきました。私の場合、現地スタッフはなく、一人でやってきましたので、これまで経験したことのない営業以外の会計業務や細かな管理業務が発生しますが、共同事務所を利用することにより軽減され、その時間をビジネスに費やすことができました。新規顧客先のリストアップ、法律や制度の改正などの情報もいただきましたし、家主やビル管理者との折衝などに追い回されることなく、ビジネスに集中することができました。細かい話ですが、FAX一つを買うにしても色々な業者を探さないといけませんが、IBOが紹介してくれましたので、大変助かりました。今、新事務所の内装について相談してきたところです。共同事務所での入居と違って、一から百まで自分でしないといけませんので、大変です。
家族のサポート
草薙:ビジネスに集中するためには、家族の協力も必要になりますね。入田さんは、当初は単身で、後に家族を呼び寄せられましたが、生活をする上で、上海の環境はいかがですか?
入田:私は1999年10月に上海に単身で赴任し、2000年4月に、妻と二人の子ども(当時、5才と2才)を呼び寄せました。当社は、海外赴任の場合、原則として妻子帯同であり、当初から呼び寄せるつもりでした。私は、学生時代に中国に留学したあと、岡本無線株式会社に入社しました。長く国内営業に従事し、1997年7月からおおとり株式会社に転籍し、貿易業務に携わることになりました。妻も中国、少なくとも大陸に赴任するとは予想していませんでしたし、中国語もできません。私がビジネスに専念するためには、家族が安心して生活できることが第一です。単身であればどこに住もうと同じですが、家族がいるとそうはいきません。幸いにも、現在の上海には日系のマンションや日系の学校がありますので、家族を心配せずに仕事ができます。
草薙:今後のご活躍をお祈りします。中国、特に華東地域の発展は大きいものがあります。中国に進出をお考えの企業におかれましては、IBO共同事務所をご活用下さい。
(上海事務所 所長 草薙 勝之) |