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IBOニュース  平成11年7月号(No.97)   その2

玩具市場100億市場に迫る

上海事務所  所長  福島勝彦

  中国の玩具市場は、玩具の概念の広がり、機能の多様化及び消費者層の拡大により、子供の成長を祝う日を中心に売れ行きが伸びるといった状況が少しづつ変化し、一年を通してコンスタントに売れる傾向になっている。業界筋の予測によれば、本世紀末までに全国の玩具の販売額は100億元に達する見込みである。

  中国の人口12億人のうち14歳以下の児童及び幼児が3.8億人(中国社会調査事務所調)が玩具の一大市場と見込めるだけでなく、近年玩具消費者層が子供以外にも急速に拡大しつつある。高級で、斬新な玩具が大人の娯楽用品となり始めた。

  児童の一人当たり玩具消費額は平均35元程度であるのに対し、農村部では10元弱で、成人は都市部の12元に対し、農村部の成人はほとんどなし(青年報調)という結果が出た。一人当たりの消費金額は低いが、中国玩具市場のもつ発展的な潜在力を感じ取ることができる。

 知識集約型で手と頭脳の両方を使用する玩具は都市部の親たちが子供に健やかに育って欲しいという気持ちを反映して支持を得ている。都市部の消費者の34%は電子型玩具に、31%が知能型玩具、そして23%がぬいぐるみや布製玩具に興味を示している。しかし、農村市場は依然として昔からの玩具が主となっている。農村部の消費者の35%は電動(電池)型玩具を、28%は積木やプラモデル等組合せ型玩具を、24%が凧など飛翔するものや人形、布製玩具を購入しようと思っている。

  中国の玩具事情は巨大な潜在マーケットの存在と都市部と農村部間の消費格差に特徴づけられる。このことから各メーカーは玩具市場の巨大な潜在力を見るだけでなく、消費者のニーズに合致した製品づくり、品質等の高度化に努めなければ将来性のある玩具市場を創出できないであろう。

 

IBOニュース  平成11年7月号(No.97)

 大連で競う日本大手スーパー

上海事務所  次長  堅田進一

  人口約540万人、12,573kuと大阪府の約7倍の広さを持つ中国遼寧省大連市は、日本人にとって聞き覚えのある街の一つであろう。緯度が仙台に位置する大連は、日本の東北地方と同様に冬の寒さは厳しいらしいが、豊富な海産物などを水揚げし、厳冬でも凍らぬ天然の良港、大連港を持ち、中国東北部の玄関口として古くから栄えてきた。

 飛行機から見下ろす大連の街は、三方を海に囲まれ、なだらかな丘陵の延長に緑の山々を配する心休まる風景が広がっており、年間で約10万人の日本人が訪れる。

 1984年、大連は開放都市の一つに認可されたのを機に「経済技術開発区」を整備し、1992年には日中合弁としては初めてのプロジェクトである「日中合弁大連工業団地」事業が始まった。開発面積約217haのこのモデル団地は、現在日系大手企業約35社が進出している。そのため、大連市内には約3千人の日本人が滞在している。 

大手スーパーの進出

 この大連市に最近、日本の大手スーパー2社が進出してきた。

 これまで天津を本拠として店舗数を伸ばしてきたダイエーが、1997年12月市内中心部から大連港を隔てた北側に1号店を開業、翌1998年4月には市内中心部に2号店をオープンし、天津で培ったノウハウを生かして事業を展開している。

 同社の副総経理(副社長)の話では、中国では価格についての反応が特に敏感で、価格がなによりも優先する傾向にあるが、ダイエーではこれに加えて衛生面や鮮度に注意を払って商品を提供している。さらに同(社)では中間管理職の教育・指導と給与管理に運営の重点を置き、クレーム処理や店頭従業員の指導などを目的とした中間管理職の育成と、公平で全員が納得できる細やかな給与体系を設定して従業員全体に不満を感じさせない環境作りを行っている。

 ところで中国では、一般的に商品はメーカーから小売店へ直接納品され、いわゆる卸問屋というものがないのだそうだ。

  このためダイエーでは三菱商事の協力を得て、集荷、配送機能を充実させ、新鮮で豊富な品揃えを可能にした。

 このシステムを確立させた結果、大連では大規模小売店が同様の方式を取り入れるなどの変化を見せている。

 また、中国でも核家族化が進行し、かつ伝統的に共働きが多く、人々は簡単に調理できる半加工製品を求めるようになってきた。このような状況のなかでダイエーは時宜にあった商品を揃え、自由市場で食品を買っていた人々を的確に獲得している。 

2社が展開する戦術

 ダイエーが住民密着型の店舗を開業したのに比べ、日本国内でサティ、ビブレを経営す

るマイカル(Mycal)は、1998年9月にほぼ時期を同じくして大連の中心部に「マイカル大連商場」をオープンさせた。これは、商場の名が示すとおり、ファッション衣料・生活用品・スポーツ用品・家電製品・免税品の販売のほか、レストラン街、アミューズメント施設などを持つ複合的ショッピングセンターである。ユニークなのは吉本興業がプロデュースした劇場を設置し、さらにビルの上層部には5つ星級のホテル、マンション、レンタルオフィスも経営している点である。

 こちらはダイエーとは全く趣を異にしており、構成のウエートをファッション性に置き、ターゲットも「外資系企業に勤める25〜35歳のヤングファミリー層と学生、OLなどのヤング層」と極端に絞り込んだ戦術を展開している。

 日本では自然に受け入れられるこの環境は、中国ではかなり異色なもので、各フロアには十分なオープンスペースと高級感溢れるディスプレイで若者の購買意欲を高めている。事実、ヴェルサーチなどの高級ブランド服飾が集合するフロアでも、予想以上の売上があるというからこの販売戦略は全くみごとに成功している。

 また、これもダイエーと同様、マイカルの出店は周辺の国営商業施設に影響を与え、これらの店内では、品質、サービスとも以前と比較して飛躍的に向上しているようである。

 この成功の影にもまた、マイカルの徹底した従業員管理がある。

 マイカルの総経理は従業員管理について、細部に至る職務内容を文書化し、細かな規定を設定した。

 売場での私語禁止、顧客に対するあいさつの徹底など一般的事項はもちろんのこと、トイレットペーパーの持ち帰り禁止や入店許可バッチの転売禁止等、実に細かい事項までに及んでいて、思わず失笑してしまう。

 これらの規定に違反する者に対する再教育と罰則、極端な場合は私情を挟まない解雇…とこれまた厳格である。この徹底ぶりは当初、従業員から反発があったようだが、今では各人がこれを順守し、業務に専念するようになった。近隣デパートの従業員と比較するとその効果は顕著に現れていることがよくわかる。

 日本国内では競い合うダイエーとマイカル。この2社の進出形態、コンセプトは全く異なったものではあるが、事前の市場調査と現地関係機関との関係強化、さらに進出後の現地従業員指導、商品管理等々は共通の課題であり、両社はこれをそれぞれの方法で克服している。

 下火となっている中国の進出であるが、それでも創意工夫で成功を収めるという好例であろう。